キム・ムヨル、『鉄槌教師』ナ・ファジン役に「長く悩んだ」と告白
俳優のキム・ムヨルが、8月25日に公開された男性ライフスタイル誌「エスクァイア」のデジタルカバー及び画報とともに公開されたインタビューで、Netflixシリーズ『鉄槌教師』の役作りをめぐる葛藤を明かした。イタリアのハイエンドスポーツウェアブランド「ストーンアイランド」とともに手がけられた今回の企画で、キム・ムヨルは作品への向き合い方、キャリア初のファンミーティング、そして俳優としての責任感について率直に語っている。
もっとも印象的だったのは、話題を集めたNetflix『鉄槌教師』で演じたナ・ファジンという人物についての言及だった。キム・ムヨルは、この役の情緒的な背景を築くために、あらゆる話やエピソードを集めていったという。集めた文章を読みながら「この文章、まさにナ・ファジンとチェ・ガユン先生の話みたいだ」「チェ・ガユン先生はこういう人ではなかっただろうか」といった形で、人物についての考えを少しずつ広げていった。役を外側から作るのではなく、その人物が生きてきた時間の手ざわりを想像で埋めていく作業だったといえる。
写真: キム・ムヨル — K-POPit 티비텐 / CC BY 4.0そこにあった懸念は明確だった。キム・ムヨルは「ナ・ファジンの動機、チェ・ガユン先生の意志を継ぐという気持ちを説得できなければ、ややもすれば教育という名目のもとで暴力を振るう人間になりかねないため、長い時間悩んだ」と語っている。強い手段で問題に向き合う人物を演じる以上、その行動を支える内面が観る者に届かなければ、キャラクターは単なる暴力の実行者に転落してしまう。その一線を守るために時間をかけたという説明である。
キム・ムヨルはまた、役に取りかかる際に特定の方法論に固執することはないと述べた。作品ごとにふさわしいアプローチを探すのが自身のやり方であり、そのうえで「できることは全部やってみる」と付け加えている。この言葉は、同じ画報公開に合わせてスポーツ東亜が伝えたインタビューでも紹介されており、俳優として20年目を迎える立場から語られた演技観として受け止められた。長く現場に立ち続けてきた俳優が、改めて自身の演技哲学を言葉にした形になる。
休みなく作品を引き受けながらも、それぞれを密度高く仕上げてこられた秘訣として、キム・ムヨルが挙げたのは「責任感」だった。彼は「いつも『この作品が誰かの人生に何らかの影響を与えうる』という事実を忘れないようにしている。ただ、演技をするときは何ものにも縛られないようにしたい」と説明し、「忘れないでいながら、すべて忘れてしまうこと。今になってようやく、それが少しずつできるようになってきた気がする」と語った。作品に対する責任感を手放さないまま、演じる瞬間だけは自由になる。矛盾するようにも聞こえる二つの態度を両立させようとする姿勢に、深みを増した俳優としての一面がのぞく。
インタビューでは、デビュー後初めて開催したファンミーティングについての話も続いた。キム・ムヨルは、新しいファンにあいさつする場としての意味もあるが、何よりも20年あまり前から自分を応援してくれた古くからのファンを数多く思い浮かべながら準備したと明かしている。演劇やミュージカルの舞台に立っていた時代、ファンに必ずファンミーティングの場を作ると約束していたのだという。それをようやく果たすことになったとして、「これでやっと心の片隅が軽くなる」と語り、名残惜しさと安堵の入り混じった心境をのぞかせた。ファンミーティングで歌を歌う計画はあるのかという質問には「そんなことをしたら、たぶんお互い気まずくなるでしょう」と笑って答え、飾らない魅力も見せている。
今回のインタビューの中心にある『鉄槌教師』は、2026年6月5日にNetflixで配信が始まった全10話の作品だ。特殊戦司令部出身の教権保護局監督官ナ・ファジンが、校内で起きるさまざまな問題に独自の方法で向き合っていく物語で、キム・ムヨルがそのナ・ファジンを演じた。後輩の監督官イム・ハンリム役をチン・ギジュ、生徒に扮して学校に潜入する事務官ポン・グンデ役をBlock BのP.Oが演じ、教権保護局を創設した教育部長官チェ・ガンソク役でイ・ソンミンが共演している。いじめや不正が絡む現場へ足を踏み入れていく展開が軸となる作品で、日本語吹替版も用意されているため、日本の視聴者もNetflixで視聴できる。
キム・ムヨルの発言に出てくる「チェ・ガユン先生」は、ナ・ファジンの動機と深く結びつく人物として語られている。彼が「その意志を継ぐという気持ちを説得できなければ」と述べているのは、ナ・ファジンの行動原理がこの人物に根ざしているためであり、そこが観客に伝わるかどうかが役全体の説得力を左右するという判断だったことがうかがえる。教育の現場を舞台に強い手段を用いる主人公という設定は、演じ方を一歩間違えれば正当化しがたいものになる。長い時間悩んだという言葉の背景には、そうした題材そのものが抱える難しさがある。
画報とインタビューの全文は「エスクァイア」の公式ホームページで確認できる。公式インスタグラムとYouTubeチャンネルでも、ファッションフィルムや、これまでの出演作を本人が選ぶ「フィルモ・ピック」インタビューなど、さまざまなデジタルコンテンツが公開される。演技論から初のファンミーティングをめぐる思いまで、キム・ムヨルという俳優の現在地を確認できる内容がそろっており、『鉄槌教師』を見た視聴者にとっては、ナ・ファジンという人物がどのように組み立てられたのかをたどる手がかりにもなりそうだ。




