『フォーハンズ』第5話、ソン・ガンがイ・ジュニョンにコンクール出場を求める
写真: イ・ジュニョン — Marie Claire Korea / CC BY 3.0tvNの土日ドラマ『フォーハンズ』の第5話が9月12日に放送され、ソン・ガンが演じるカン・ビオが、イ・ジュニョンが演じるチェ・ジョンヨに「一緒にコンクールへ出よう」と持ちかける場面が描かれた。断ろうとするチェ・ジョンヨに対し、カン・ビオは友人としての頼みだと押し切り、チェ・ジョンヨもこれを受け入れる。二人が同じ舞台で正面から競い合う流れが、ここで決まった。脚本はシン・イウォン、演出はパク・ヒョンソクが担当している。
この申し出に至るまでには、カン・ビオが受けた大きな衝撃があった。祖父にあたるカン・スンウン(チョン・ジニョン)が、孫であるカン・ビオではなくチェ・ジョンヨの実力だけを認めたのだ。その事実に打ちのめされたカン・ビオは倒れ、肺炎で入院する。悪夢にうなされる日々を送りながら、それでもチェ・ジョンヨを呼び出し、自分の口で話を切り出した。「天才でもない自分がコンクールで認められなければ、誰が自分の演奏を聴いてくれるのか」。そう語ったうえでカン・ビオは「お前にも出てほしい。断ることは考えるな。俺を友達だと思っているなら、これくらいの頼みは聞けるだろう」と迫った。

チェ・ジョンヨはすぐには答えず、ためらいを見せる。するとカン・ビオは声を荒らげた。「お前が出たら必ず俺を負かすとでも思っているのか。今回はお前の思い通りにはならない。俺は自分を証明する。だからといって、適当に負けてやろうなんて考えるな。一度でもそんな素振りを見せたら、お前は俺の手で殺される」。これに対してチェ・ジョンヨは「分かった。その代わり、お前も本当に必死で練習しないとな。じゃないと俺にやられるぞ。それと、俺は死なない」と返した。病室での短いやり取りが、二人を同じ土俵へ引き上げたかたちだ。
この会話を、カン・ビオの母カン・ジヘが立ち聞きしていた。カン・ジヘは息子に「よくやった。お前の言う通り、ピアノを続けるにはコンクールで入賞するしかない」と告げる。ところがカン・ビオの返答は、母の期待とはまったく違う方向を向いていた。「喜ばないでください。そこで優勝できなければピアノはやめます。そこそこのピアニストとして残るくらいなら、いっそやらない方がましだ」。入賞を通過点と考える母に対し、息子は優勝か引退かという極端な二択を自らに課してみせた。
一方のチェ・ジョンヨは、師であるト・ヒョンス(キム・ジュホン)に自分の考えを伝えている。「自分が出ることでビオを立ち直らせられる気がする」。カン・ビオのための焚きつけ役、いわば火をおこすための焚き付けになろうというのだ。しかしト・ヒョンスの返事は厳しかった。「適当に引き立て役をやるつもりなら、ここでやめろ。私にとってはビオもお前も同じように大切な弟子だ。もし少しでもそんな姿を見せたら、黙ってはいない」。二人の弟子を等しく見る指導者として、手を抜いた演奏は許さないという立場を示した。
『フォーハンズ』は2026年8月29日にtvNで放送が始まった土日ドラマで、音楽的な才能を持つ生徒が集まる芸術高校を舞台に、若者たちの友情と恋、競争と成長を描く。制作はスタジオドラゴン、スタジオN、ナムアクターズ。物語の中心に立つのは、ピアニストのカン・ビオ(ソン・ガン)とチェ・ジョンヨ(イ・ジュニョン)、そしてビオリストのホン・ジェイン(チャン・ギュリ)の三人だ。エリートコースを歩んできたカン・ビオは繊細で精緻な演奏を、長くピアノを離れていたチェ・ジョンヨは強いエネルギーで舞台を圧倒する演奏を持ち味とする。協奏曲で伴奏が止まり独奏者だけが演奏を続ける「カデンツァ」の場面では、同じ楽器に向き合いながらまったく異なる音楽を生む二人の差がはっきりと表れる構成になっている。タイトルの「フォーハンズ」は、一台のピアノを二人で弾く連弾を指す言葉で、限られた鍵盤を分け合うぶん、正確なタイミングと呼吸、相手への配慮が欠かせない。
ここに至るまでの経緯を振り返ると、二人の関係は短期間で大きく揺れてきた。9月5日に放送された第3話では、練習を重ねてきた連弾の本番で、チェ・ジョンヨがこわばった表情のまま立ち尽くし、舞台から走り去ってしまう。舞台に一人残されたカン・ビオが、去っていく背中を見つめる場面が描かれた。それまでの二人は、舞台恐怖症を抱えるチェ・ジョンヨのためにカン・ビオが練習時間を割き、路上での演奏も成功させるなど、距離を縮めていた矢先だった。対立は学校のサッカー場にまで持ち込まれ、チェ・ジョンヨがカン・ビオを地面に倒して拳を振るい、カン・ビオも冷たい目で応じるつかみ合いへと発展する。止めに入る友人たちの間で、笑みひとつ浮かべない二人の表情が、単なる勝負への執着ではないことをうかがわせた。
9月6日放送の第4話では、チェ・ジョンヨが闇金業者の事務所で、血まみれになった父チェ・ギテク(ソン・ノジン)と再会する展開が描かれた。第3話まで債権者に追われる不安な日々を送っていた彼が、今度は自ら業者の事務所へ足を運ぶ。ピアニストとしてのデビュー舞台を終えて間もない時期に、再び父の借金問題と向き合うことになった。この借金は父が残した賭博によるもので、日常そのものが脅かされる状況だった。追い詰められたチェ・ジョンヨに手を差し伸べたのが、韓国芸高理事長のソ・ジェヒ(ユン・ソンジュ)だ。父が高利貸しに捕らえられ多額の金を要求された際も、チェ・ジョンヨは再びソ・ジェヒを頼り、借金問題は解決に至った。
ただし、危機を越えた後も彼が完全に自由になったわけではない。ソ・ジェヒの支援には、彼をピアニストとして育て上げ、自分の判断が正しかったと証明したいという目的がある。経済的な重圧から逃れた代わりに、今度は自分に期待を寄せる人の思いまで背負うことになった。JTBCのエンタニュースチームは9月11日、12日と13日の放送を前に二人の置かれた状況をまとめ、母の期待を担うカン・ビオと、助けてくれた人への借りを抱えるチェ・ジョンヨという立場の違いが、物語に新たな緊張を生んでいると伝えている。
カン・ビオの側の事情も複雑だ。母カン・ジヘ(ユン・セア)は息子が世界的なピアニストになることを願い、積極的に支えてきた。世界的な指揮者である父カン・スンウンに息子の才能を認めさせたいという思いも重なり、カン・ビオにかかる期待はいっそう大きくなっていた。ところがチェ・ジョンヨと過ごすうちに、カン・ビオが音楽に見出す意味は変わり始める。他人の評価を得るための演奏ではなく、自分自身が楽しいと感じられる音楽をやりたいという気持ちが芽生えたのだ。その変化に再びブレーキをかけたのが母の言葉だった。カン・ジヘがチェ・ジョンヨのアーティストマネジメント新規契約に触れたことで二人の差が意識され、さらにカン・スンウンの前でチェ・ジョンヨが演奏する姿まで目撃してしまう。感情を爆発させたカン・ビオは、その後に倒れるほどの衝撃を受けた。
カン・スンウンは孫には才能がないとしてピアノを諦めるよう告げる一方、チェ・ジョンヨには共演を提案した。カン・ビオが最も望んだ「認められること」が、競争相手の側に渡ったかたちだ。加えてカン・スンウンは、互いを大切に思う今の関係がいずれカン・ビオの傷になると警告する意味深な言葉も残している。友人でありながら競争相手でもある二人が、この言葉をどう受け止めるかによって、今後の関係も変わっていく可能性が高い。第5話でカン・ビオが自ら「一緒に出よう」と切り出したのは、周囲の大人に振り回されてきた彼が、初めて自分の意志で勝負の場を選び取った瞬間だったと言える。優勝できなければピアノをやめるという宣言、そして手を抜けば許さないという師の言葉が重なり、コンクールは二人にとって退路のない舞台になった。
『フォーハンズ』はtvNで土曜と日曜の午後9時10分に放送されている。韓国では土日の同時間帯にドラマを2話連続で展開する編成が定着しており、本作もこの枠で週2話ずつ物語を進めてきた。クラシック音楽を単なる背景音楽ではなく人物の関係や成長に結びつけている点が特徴で、音楽に詳しくない視聴者でも登場人物の感情の流れを追いながら楽しめる作りになっている。第5話で決まったコンクール出場が、カン・ビオとチェ・ジョンヨの関係をどこへ運ぶのか、今後の放送で明らかになる。






