BTSのグラミー出品拒否、海外メディアも新設部門に疑問
(C) BIGHIT MUSICBTSがグラミー賞への楽曲出品を拒否した件をめぐり、フランスやイギリスの主要メディアが相次いで新設部門への批判を展開している。フランス紙ル・フィガロは現地時間8月14日、グラミーが新たに設けた「ベスト・アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス」部門を取り上げ、アジア音楽に光を当てるどころか、地域という別枠に閉じ込める結果を招きかねないという専門家の指摘を伝えた。
同紙のインタビューで目を引いたのは、米エール大学の社会学教授グレース・カオ氏の言葉だ。カオ教授は、BTSがグラミーよりもはるかに多いソーシャルメディアのフォロワーを抱えていると指摘したうえで、ジョングクの飼い犬でさえグラミー賞より人気があると皮肉った。カオ教授は米国社会学会の副会長を務めた経歴を持ち、人種や民族、移民などを研究対象としている社会学者である。
この指摘は数字の上でも裏付けられる。8月19日時点で、ジョングクの愛犬「バム」のためのアカウント「bowwow_bam」のフォロワーは800万人を超えている。一方、グラミーの公式アカウントは約470万人にとどまる。犬のアカウントが、世界最高峰とされてきた音楽授賞式の公式アカウントを300万人以上も上回っているという構図だ。授賞式の権威と、アーティスト個人が持つ発信力の差を端的に示す比較として、海外メディアの間で話題を呼んでいる。
ル・フィガロは、部門の名称と枠組みそのものにも疑問を投げかけた。異なる国、異なる音楽を「アジアン・ポップ」というひとつの範疇にまとめる手法への批判である。フランス文化省所属の社会学者シルビー・オクトーブル氏は、ヨーロッパ各国の音楽を単純に「ヨーロッパ音楽」とひとくくりにするのと変わらないと述べ、その乱暴さを指摘した。K-POP、J-POP、C-POPといった、それぞれ異なる歴史と市場を持つ音楽を一括りにする発想への違和感が、欧州の論調の中心にある。
英紙ガーディアンも同様の立場を取った。同紙が問題視したのは、グラミー側がアジアのポップスをあたかも「新しいジャンル」であるかのように説明した点だ。アジアやラテンのポップ市場はすでに数十年にわたって成長を続けており、米国国内でも大規模な市場と聴衆を確保している。にもかかわらず新顔として扱う姿勢に対し、ガーディアンはBTSの出品拒否を、この新設部門への強い批判にあたると評価した。
BTSが出品拒否を表明したのは先月29日のことだ。メンバー7人全員がそれぞれのインスタグラムを通じて、2027年のグラミーに音楽を出品しないと明らかにした。メンバーらは、音楽が地域や言語によって分けられるのではなく、音楽そのものとして聴かれ、愛されることを望むという趣旨の立場を示している。この決定は、グラミーを主催するレコーディング・アカデミーが6月に、K-POP・J-POP・C-POPなどを対象とする「ベスト・アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス」部門を新設したことを受けたものだった。
これに対し、レコーディング・アカデミーのハービー・メイソン・ジュニア最高経営責任者(CEO)は、BTSの決定を尊重するとしたうえで、新部門はアジア音楽を分離するためのものではなく、より多くのアーティストに光を当てるために設けられたものだと説明した。さらに、アジアン・ポップ部門に出品したとしても、「最優秀アルバム賞」「最優秀レコード賞」「最優秀楽曲賞」といった主要部門に同時に出品することは可能だと強調している。つまり、新部門への出品が主要部門からの締め出しを意味するわけではないという反論である。
それでも論争は収まらず、レコーディング・アカデミーは最近、K-POP、J-POP、C-POP、インド音楽の関係者と新部門をめぐる意見交換を行っていると伝えられている。理事会や、授賞・候補選定に関わる委員会も議論に加わっているという。新設された部門の扱いが今後どうなるかは、こうした協議の行方に左右されることになる。
BTSはこれまでグラミーで5度候補に挙がったものの、受賞には至っていない。今回の出品拒否は、BTSがグラミーへの参加そのものを拒んだ初めてのケースとなる。候補入りを重ねながら受賞に届かなかった歴史を持つグループが、自ら参加を見送るという選択をしたことで、授賞式の側が抱える構造的な問題に議論の焦点が移った形だ。
一方、BTSの活動そのものは活発に続いている。米MTVは現地時間8月18日、「2026 MTV ビデオ・ミュージック・アワード(VMA)」の候補者リストを発表し、BTSは最優秀楽曲賞にあたる「今年の楽曲(Song of the Year)」部門と「ベストK-POP」部門の候補に名を連ねた。対象となったのは正規5作目『ARIRANG(アリラン)』のタイトル曲「SWIM」で、授賞式は9月27日に開かれる。このアルバムは、グループとして3年9か月ぶりに全員がそろって発表した完全体アルバムにあたる。兵役に伴う個人活動の期間を経て、7人での活動を本格的に再開した節目の作品だ。
チャート面でも存在感は続く。ビルボードが8月18日(現地時間)に発表した最新チャートでは、『ARIRANG』がメインアルバムチャート「ビルボード200」で21位につけ、4月のチャートインから21週連続のランクインとなった。同じチャートでは、Stray Kids(スキズ)が新ミニアルバム『THIS & THAT』で首位に立ち、通算9作目のビルボード200制覇を果たしている。K-POP全体が米国市場で確固たる地位を築いていることは、まさにガーディアンが指摘した「すでに大規模な市場と聴衆を確保している」という現実を裏付けるものといえる。
メンバー個々の活動も伝えられている。ジミンは現地時間8月15日、米テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで開かれた「BTS WORLD TOUR『ARIRANG』」公演の最中、客席にいた小児がんで闘病中の少女オリビアさんのもとへ自ら歩み寄り、抱き寄せて頬にキスを贈った。その様子は米国の非営利団体「ヒーローズ・フォー・チルドレン」の公式SNSを通じて公開されている。ジミンはまた、8月のボーイズグループ個人ブランド評判で1位となり、同ランキングでの首位は通算61回目を数えた。ジョングクについては、披露した『Like Animals』のステージを米ビルボードが取り上げ、「完璧なボーカルを届けた」と評価している。V(30)は8月19日までに自身のインスタグラムで、ジョングク(28)とジムで懸垂やラットプルダウンに取り組む様子を公開した。
国内の授賞式でもBTSの楽曲は取り上げられる。9月19日に釜山アシアド主競技場で開かれる「2026 THE FACT MUSIC AWARDS(2026 TMA)」では、BTSやNCT DREAMの楽曲を他のグループが再解釈するスペシャル舞台が用意されている。オープニングを担当するのはサイカーズ(xikers)、クローズ・ユア・アイズ(CLOSE YOUR EYES)、トリプルエス(tripleS)の3組だ。
なお、BTSの公演人気に便乗した被害も出ている。韓国・仁川に拠点を置くeSIM販売会社をめぐる投資詐欺事件では、BTSの公演や訪韓外国人観光客の増加でeSIMの需要が急増していると宣伝して資金を集めていたとされ、8月14日時点で告訴状は1366件、告訴人は1440人に達した。仁川警察庁反腐敗経済犯罪捜査隊は8月17日、詐欺と類似受信行為の規制に関する法律違反の疑いで、この会社の代表らを立件して捜査を進めていると明らかにしている。









