tvN新土日劇「フォーハンズ」放送開始、イ・ジュニョンが天才ピアノ少年に
俳優のイ・ジュニョンが、8月29日に初回放送を迎えたtvNの新しい土日ドラマ「フォーハンズ」で、ピアノの才能を持ちながら家族の事情に押し流されていく17歳の少年、チェ・ジョンヨを演じる。初回では、かつて神童として期待を集めた彼が、なぜ鍵盤の前を離れ、生計を立てる側に回らざるを得なかったのか、その経緯が描かれる。
作品の情報を整理しておく。「フォーハンズ」は脚本をシン・イウォン、演出をパク・ヒョンソクが担当し、スタジオドラゴン、スタジオN、ナムアクターズが制作に名を連ねる。放送局は韓国のケーブル局tvNで、枠は土曜・日曜の連続ドラマ枠。韓国では地上波の週末劇と並んで、この土日枠が話題作を送り出す主戦場のひとつになっており、新作の初回がどう受け止められるかは、その後の数字を左右する重要な局面になる。日本の読者にとっては、tvNといえば近年、話題作を数多く生んできた放送局として名前が知られており、その週末枠に投入される新作という点で注目度は高い。
写真: イ・ジュニョン — Marie Claire Korea / CC BY 3.0イ・ジュニョンが演じるチェ・ジョンヨという人物は、幼い頃からピアノに並外れた才能を見せてきた「天才の中の天才」として設定されている。鍵盤の前に座りさえすれば音楽に完全に没入し、自分の色を宿した演奏を臆することなく繰り広げる。その姿は音楽界の関係者たちの目を引きつけ、ジュニア・コンクールでは大賞を手にするという快挙まで成し遂げた。ここまでだけを取り出せば、将来を約束された少年の物語である。
ところが十七歳を迎えた現在のチェ・ジョンヨの人生は、まったく別の流れの中にある。父親がアルコール依存に陥り、さらに賭博に手を染めているために、少年であるチェ・ジョンヨが一家の大黒柱として生計まで背負わされる状況に置かれているのだ。ピアノに向かうための時間も環境も、彼の手からこぼれ落ちている。才能があることと、その才能を使い続けられることは別だという現実が、この人物の出発点に据えられている。
先立って公開された写真には、そのチェ・ジョンヨが借金取りに追われる絶体絶命の瞬間が収められており、初回への緊張感を高めていた。姿を消した父親の行方を追って家にまで押しかけてきた借金取りたちを見つけたチェ・ジョンヨの顔には、当惑と恐怖がはっきりと浮かんでいる。雨を全身に浴びながら慌ただしく逃げ出していく彼の姿からは、切迫した状況がそのまま伝わってくる。未成年であるためモーテルに入ることもできないチェ・ジョンヨは、商店街の軒下にうずくまったまま、あてもなく時間をやり過ごす。行き場のない少年が雨宿りをするその一枚は、彼が置かれた立場を言葉より雄弁に語っている。
未成年ゆえに宿を取ることすらできないという細部は、この人物の孤立を端的に示している。追われて家を出た少年に、逃げ込める場所がない。父親は姿を消し、借金取りは家まで来る。頼る大人も、身を寄せる場所もないまま、雨の中で軒下に座り込むしかない。生計を背負う立場になった十七歳の日常が、劇的な演出ではなく、こうした具体的な行き詰まりとして提示されているところに、この作品の入り口としての性格が表れている。
そして残された問いは一つである。果たして彼に、再びピアノの前に座る機会が訪れるのだろうか。ジュニア・コンクールで大賞を取った少年が、鍵盤から引き離されたまま生活に追われている。その距離をどう埋めていくのか、あるいは埋められないのか。初回で提示されたこの設定は、そのまま作品全体を貫く軸になっていくとみられる構成だ。タイトルの「フォーハンズ」がピアノの連弾を指す言葉であることを踏まえれば、一人で鍵盤に向かえなくなった少年の物語が、どこへ向かうのかという興味も生まれる。
イ・ジュニョンにとっては、才能と困窮という二つの極を一人の人物の中に抱え込む役どころとなる。演奏する場面では音楽に没入する天才少年としての姿を、生活の場面では家族の負債を背負って逃げ回る少年としての姿を、同じ人物の中で行き来させなければならない。公開された写真が伝える当惑と恐怖の表情は、その後者の側面を強く印象づけるものだった。
韓国の週末ドラマは通常、土曜と日曜に一話ずつ放送される形式で進行し、視聴者は週末ごとに物語を追っていくことになる。「フォーハンズ」も8月29日の初回を皮切りに、この土日枠で展開していく。脚本のシン・イウォン、演出のパク・ヒョンソクという布陣に加え、制作にスタジオドラゴンとスタジオN、そしてナムアクターズが参加している体制は、作品の規模を示す一つの手がかりでもある。
初回放送を経て、チェ・ジョンヨという少年がこの先どのような選択をしていくのか、そして雨の中を逃げるしかなかった十七歳が再び鍵盤の前に戻る日が来るのかどうか。天才と呼ばれた過去と、生計に追われる現在との落差から始まったこの物語の行方に、関心が集まっている。





