『フォーハンズ』ソン・ガン、指のけがを抱えたままコンクールへ
写真: ソン・ガン — TenAsia / CC BY 4.09月12日に放送されたtvNの土日ドラマ『フォーハンズ』第5話で、ソン・ガンが演じるカン・ビオがコンクールの予選中に指をけがした。けがに気づいたチェ・ジョンヨ(イ・ジュニョン)はすぐに治療するよう強く勧めた。一方、ビオの母親カン・ジヘ(ユン・セア)は治療を後回しにして、コンクールを続けさせる道を選んだ。同じけがを前にしても、友人と母親の反応ははっきり分かれた。第5話はその対比がくっきりと描かれた回だった。脚本はシン・イウォン、演出はパク・ヒョンソクが担当している。
ビオがコンクールに挑むことにしたのは、祖父の評価がきっかけだ。ビオの母方の祖父カン・スンウン(チョン・ジニョン)は世界的な指揮者だが、ピアノの実力を認めたのは孫のビオではなく、チェ・ジョンヨだけだった。ビオはコンクールで結果を出して自分の力を証明すると決めた。そしてジョンヨにも一緒に出ようと声をかけ、手を抜いてわざと負けるようなことは考えるなと釘を刺した。本サイトが12日に伝えたとおり、ジョンヨは一度断ろうとしたが、ビオに友人としての頼みだと押し切られて出場を受け入れている。

ただ、ビオは口に出さない覚悟を抱えていた。優勝できなければピアノをやめるつもりだったのだ。そこまで思いつめて予選に臨んでいた最中に、指を痛めてしまう。
最初に異変に気づいたのはジョンヨだった。ビオの小指の様子を見て「いつからそうなっているのか」と問いただした。そのままにしておけばだめになると言い、今すぐ練習をやめてまず治療をするよう迫った。しかしビオは、また何か見間違えて大げさに騒いでいるだけだと取り合わない。余計な口出しはせず自分の心配をしろと、突き放すように返した。
そんなビオに、母ジヘは「薬はちゃんと飲んでいるよね」と確かめた。そのうえで「3週間だけ我慢しよう」と言い聞かせた。ここまで上がってくるのがどれほど大変だったか、今になって諦めたらあまりにももったいない、というのが母の言い分だ。息子の指より、勝ち上がってきた道のりを無駄にしないことを優先したことになる。治療を急がせたジョンヨとは正反対の姿勢で、二人の人物像の違いが際立った。
ジヘのこの態度は、これまでの物語の流れを追うとわかりやすい。JTBCのエンタニュースチームが11日にまとめた記事によると、ジヘは息子が世界的なピアニストになることを願い、積極的に支えてきた。さらに、自分の父でもある指揮者カン・スンウンに息子の才能を認めてほしいという思いも抱えている。そのため、ビオにかかる期待は大きく膨らんでいた。
ビオ自身は、ジョンヨと過ごすうちに音楽の見方が変わり始めていた。人から評価されるためではなく、自分が楽しめる音楽をやりたいと思うようになったのだ。その変化を再び止めたのが母の言葉だった。ジヘがジョンヨの新しいアーティストマネジメント契約に触れたことで、ビオは二人の差を意識し始める。さらに、祖父の前でジョンヨが演奏する場面まで目にしてしまう。ビオは感情を爆発させ、その後、倒れるほどの衝撃を受けた。祖父のカン・スンウンは、孫のビオには才能がないからピアノを諦めろと告げた。その一方で、ジョンヨには協演を持ちかけている。ビオが求めていた評価は、ライバルであるジョンヨに向けられた形だ。スンウンは、互いを大切に思う今の関係がいずれビオを傷つけることになるとも警告していた。
ビオを気づかったジョンヨにも、重い事情がある。父ソン・ノジン(チェ・ギテク)が残したギャンブルの借金で、暮らしそのものが脅かされていた。取り立てが続くなか、韓国芸術高校の理事長ソ・ジェヒ(ユン・ソンジュ)が手を差し伸べ、ジョンヨはひとまず息をつくことができた。その後、父が高利貸しに捕まって大金を要求されたときも、ジョンヨは再びジェヒに助けを求め、借金問題は片づいた。しかしジェヒが支援するのは、ジョンヨをピアニストに育て上げ、自分の判断が正しかったと証明するためでもある。お金の問題から解放された代わりに、自分に期待をかける人の思いを背負うことになった。家族の期待を背負うビオと、受けた助けへの責任を抱えるジョンヨ。この立場の違いが、第5話のけがをめぐる対照にもつながっている。
二人の関係は、放送が始まってから大きく揺れ動いてきた。『フォーハンズ』は2026年8月29日にtvNで放送が始まった。9月5日放送の第3話では、ビオがジョンヨに、校内の舞台ではなく名門「ノブリスコンサート」のオーディションを持ちかける流れが描かれた。放送前にビズエンターが伝えた内容によると、この回までにビオは舞台恐怖症に悩むジョンヨのために練習時間を割き、二人でバスキング公演も成功させていた。ところが、いよいよ迎えた連弾の本番当日、ジョンヨは硬い表情で立ち尽くし、ついには舞台を飛び出してしまう。一人残されたビオが、その後ろ姿を見送る場面が公開された。対立は学校のサッカー場にまで持ち込まれた。ジョンヨがビオを地面に倒して拳を振るい、ビオも冷たい目つきで応じる。止めに入る友人たちの間で激しくぶつかり合う姿が、スチールカットで伝えられた。そこから第5話で再び同じコンクールに挑むまで、二人は衝突と歩み寄りを繰り返してきた。
作品の舞台は、音楽の天才ばかりが集まる芸術高校だ。そこで出会った若者たちの友情と恋、競争と成長を描いている。名高い芸術家一家に生まれたビオと、苦しい家庭で育ったジョンヨが韓国芸術高校で出会い、連弾を一緒に仕上げていく。二人の友人役はチャン・ギュリが演じる。スタジオドラゴン、スタジオN、ナムアクターズの3社が共同で制作している。脚本のシン・イウォンは以前、キャスティングの知らせを聞くたびに驚きの連続だったと語っていた。ソン・ガン、イ・ジュニョン、チャン・ギュリをはじめ、どの俳優も構想していた以上に劇中の人物そのものだったという。
タイトルの「フォーハンズ」は、2人が1台のピアノに並んで座り、それぞれのパートを合わせて弾く演奏を指す。一人で練習するだけでは完成しない、息を合わせることが欠かせない演奏だ。ドラマではその手元の動きまでカメラに収めている。制作陣はtvNの公式YouTubeチャンネル「tvN DRAMA」で「フォーハンズ ピアニストインタビュー」という映像を公開した。ソン・ガンとイ・ジュニョンが実際にレッスンを受ける様子に加え、二人を指導したピアニスト本人が登場し、レッスンの裏話を語る内容だ。紹介文には「5話の演奏曲のネタバレを含む」という注意書きがある。第5話を見る前の人は、視聴の順番に気をつけたい。
日本の視聴者に向けて補足すると、韓国の「土日ドラマ」は週末の2日間に続けて放送される枠のことだ。JTBCによると、9月12日と13日はいずれも午後9時10分からの放送とされている。第5話が放送された翌日の13日にも、続きの放送が予定されていた。
制作陣が公開した映像の紹介では、ビオとジョンヨは練習パートナーから始まり、やがて国際コンクールの舞台でライバルとして向き合う関係だと説明されている。優勝できなければピアノをやめると心に決めたビオは、指のけがを抱えたまま、母の言う「3週間」を耐えることになった。止めようとした友人の言葉を振り切って進むビオが、この先どこまで舞台に立ち続けられるのか。物語の焦点が、そこに移ってきた。






