リセンヌ、巨済市の水害被災地に5000万ウォンを寄付
写真: RESCENE — K-POPIT 케이팝잇 / CC BY 3.0韓国のグループ「リセンヌ(리센느)」が、記録的な豪雨に見舞われた慶尚南道・巨済市に義援金5000万ウォンを寄付した。所属事務所の関係者が8月19日午後に巨済市を訪れ、集中豪雨の復旧作業と被災住民の支援に充ててほしいとして手渡したもので、寄付はファンダム「リマイン(REMINE)」の名前も連ねる形で行われた。地元紙・巨済新聞が同日報じた。
今回の寄付が注目を集めているのは、リセンヌと巨済市の間に、それ以前から続いてきた縁があるためだ。きっかけは、メンバーのウォニがYouTubeで公開したコンテンツだった。その中で日本人メンバーのミナミが叫んだ「巨済ヤッホー!(거제 야호)」という一言が、SNSやショートフォームのプラットフォームを通じて拡散し、話題を呼んだ。ごく短いフレーズから始まった映像がオンラインのミームとして広がり、結果的に巨済という土地そのものへの関心を押し上げることになった。
この反響を受けて、巨済市は今年5月、リセンヌを広報大使に委嘱した。以降、グループは巨済の主要な観光地や地域のコンテンツを紹介する活動に参加し、市との関係を継続してきた。とりわけ若い世代になじみの深いショートフォーム動画を通じて巨済を発信し、単なる名義上の広報大使にとどまらず、地域と大衆を実際につなぐ役割を担ってきたと評価されている。芸能人の地方自治体広報大使は韓国では珍しい取り組みではないが、就任の経緯そのものがオンライン上の自然発生的な話題から生まれたケースは目を引く。
その縁が、今回は被災地への支援という形につながった。光復節(8月15日)の連休期間中、巨済を記録的な豪雨が襲い、住宅や道路、農地などが浸水した。土砂崩れも起き、停電や断水といった被害も相次いだ。気象庁の資料によると、8月15日から17日にかけて続いた集中豪雨で、巨済には累積928.0ミリという前例のない雨量が観測された。3日間で1000ミリ近い降水は、韓国南部の年間降水量の相当部分に匹敵する規模で、被害が広範囲に及んだ理由もそこにある。リセンヌ側はこうした状況を受け、直接義援金を届けることで被災した住民への慰労の意を示した形だ。
ファンによる動きも並行して広がった。リセンヌのファンダム「リマイン」は8月18日、希望ブリッジ全国災害救護協会に、慶尚南道地域の被災者を支援するための募金ページを開設した。ファンたちはオンラインコミュニティを中心に自発的に寄付を呼びかけ、19日午前の時点で4000万ウォンを超える義援金が集まった。開設からわずか1日ほどでこの金額に達したことになる。韓国では、アーティストの誕生日やデビュー記念日に合わせてファンダムが寄付を行う文化が定着しており、災害時にも同様の動きが速やかに立ち上がることが多い。今回もその流れに沿った形だが、対象がグループにゆかりの深い地域だった点が特徴的だ。
さらに、リセンヌが広告モデルとして縁を結んだ広告会社も寄付に加わった。歌手本人、そのファンダム、そして企業までが相次いで支援に乗り出したことで、「巨済ヤッホー」という一言から始まった縁が、実際に地域社会を支える行動へと広がっていく構図となっている。巨済新聞は、リセンヌが広報大使として積み重ねてきた地域との関係が、集中豪雨の被害という危機的状況において直接的な助けへと結びついた点に、とりわけ注目が集まっていると伝えている。
巨済市は今回の集中豪雨で甚大な被害が発生しており、被災住民の生活安定と施設の復旧に向けて、官民双方からの支援と関心が切実に求められている状況にある。リセンヌとファンダム、企業による相次ぐ寄付は、水害で困難に直面している住民にとって実質的な助けとなると同時に、再び立ち上がれるという励ましになることが期待されている。
巨済では復旧に向けた動きが続いている。慶尚南道は巨済や統営など被害を受けた現場に37億ウォンを緊急支援し、慶尚南道教育庁は被害を受けた学校の「始業前の正常化」に向けて政府や自治体と復旧を急いでいる。慶尚南道の義勇消防隊1260人が浸水被害を受けた巨済で復旧作業にあたり、外食業中央会は泥水に見舞われた飲食店街に超音波食器洗浄の緊急支援を行った。巨済市も公務員と重機を総動員して復旧に取り組んでいる。一方で、20年続いてきた巨済島花祭りは、記録的な水害を受けて中止が決まった。
記事には読者からのコメントも寄せられている。ある読者は「今すぐお返しはできません。状況があまりに良くないので。けれど、この地を守ろうとしてくれたあなたたちの真心を私たちは覚えているので、いつでも気兼ねなく立ち寄ってほしい」と書き込み、「巨済は苦しいときに助けてくれた友人を必ず覚えている」と続けた。別の読者は、ウォニのいるリセンヌが巨済を全国に知らせ、巨済の観光が上向いていた矢先の豪雨だったとしたうえで、所属事務所とグループ、そしてリマインが巨済のために温情を示したことに感謝し、復旧が終わって日常が戻ったら、巨済市と市民は訪れる観光客をより親切に温かく迎えてほしいとつづった。「ありがとう。本当にありがとう」という短い書き込みや、「リセンヌとファンダムに感謝します。巨済市も恩返しできる機会があることを願います」という声もあった。
日本の読者にとっては、日本人メンバーのミナミが発した一言が発端となり、それが地方自治体の広報大使就任、さらには災害時の支援にまでつながったという流れが分かりやすい入り口となるだろう。巨済は慶尚南道の南端に位置する島の都市で、造船業と観光が地域経済を支えている。今回の豪雨では、その観光の柱の一つだった秋の祭りも中止に追い込まれた。オンラインの偶発的な話題から始まった関係が、被害が長期化しかねない局面でどのように続いていくのか、今後の動向が注目される。










