BTSのグラミー出品拒否、ハンギョレがコラムで支持を表明
写真: BTS — Samsung Saudi Arabia / CC BY 3.0韓国の日刊紙ハンギョレが8月28日、BTS(防弾少年団)がグラミー賞への出品を拒否した選択を支持するコラムを掲載した。書き手は同紙国際ニュースチーム長の金志垠(キム・ジウン)記者で、コラム欄「コズモポリタン」に「BTSのグラミー『ボイコット』を支持する理由」との見出しで載った。米国で自身が受けた人種差別の体験を出発点に、音楽を地域や言語で区切ることの是非へ論を進める構成になっている。
コラムの後半で扱われているのが、先月伝えられたBTSのグラミー出品拒否宣言である。きっかけは、米レコーディング・アカデミーがグラミー賞に「ベスト・アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス」部門を新設したことだった。BTS側は「音楽が地域や言語で区分されるよりも、音楽そのものとして聴かれ、愛されることを願う」として、この新部門に対する居心地の悪さを表明した。これに対しグラミー側は、新部門は「アジアン・ポップ音楽のパフォーマンスの芸術的な卓越性を認める」ためのものだったと説明している。コラムは、この一件が地域や言語による区分は多様性の拡張なのか、それとも新たな境界線なのかという論争に火をつけたと位置づけている。

論争はさらに広がった。グラミーの公式サイトからBTSの公演映像が消えたという知らせが伝わり、タイミングがタイミングだけに、ファンの間ではボイコットに対するグラミー側の狭量な「報復」ではないかとささやかれた。これについてグラミーは、ライセンス期間が終了したことに伴う措置だったと明らかにしている。コラムはこの経緯を、事実関係の説明を添えたうえで淡々と記している。
そのうえでコラムは、グラミーの部門をめぐる過去の論争を引き合いに出す。取り上げられているのは、ビヨンセが黒人女性として初めて「ベスト・カントリー・アルバム」を受賞した翌年、この賞が「トラディショナル・カントリー」と「コンテンポラリー・カントリー」の二つの部門に分割された件である。白人の聴衆が圧倒的多数を占めるカントリー音楽の「正統性」を守るための仕掛けではないか、という批判が当時出たという。コラムによると、グラミーは1959年に29部門でスタートし、現在の100部門にまで拡大してきた。その過程で、包容なのか隔離なのかをめぐる論争が絶えなかったと指摘している。
記事にはBTSのリーダーRMの近況も差し込まれている。RMは最近の公演中、歌詞を変えて「僕らは僕らの道を行くだけ。僕らは韓国で生まれた、だから人々は僕らを知らない」と歌ったと伝えられる。グラミーへの出品期限は8月21日に締め切られ、BTSは出品しなかった。コラムは「『黄色い異邦人』は彼らの選択を支持する」と締めくくっている。
この「黄色い異邦人」という言葉は、コラム前半で語られる筆者自身の経験に由来する。2年前、米ワシントン郊外の静かな住宅地を歩いていたとき、向かいから来た高齢の女性が、激しく吠える自分の犬に「黄色い人に吠えるんじゃない!」と言い放った。筆者はまさかと思っているうちに距離が開き、対応するタイミングを逃したという。もうひとつは風の強い2月のある日の出来事だ。「隣人へ」と書き出された手書きの手紙が小さなビニール袋に貼られ、玄関前に置かれていた。自分たちが出したごみが隣家に飛んできた、という内容だったが、袋の中には見たこともない缶飲料の空き缶と包装紙が入っていた。数日後にはまた手紙が届き、今度は「ごみのかなりの量」が自分たちの家の前で見つかったと主張していた。差出人の「あなたの隣人たち」は、手に負えないごみの量に多くの隣人が管理事務所(HOA)への通報を検討していると書いていたが、筆者はしっかり包んで出しているため、自宅のごみが飛んでいくはずはないとしている。筆者はこれを、人種差別だとすれば実に奇抜で手の込んだ低強度の手法だと受け止め、家主に人種差別の疑いがあるとして監視カメラの設置と次回の法的対応を警告として伝えた。数日後、自宅前に止めた車に寄りかかり、車窓で点滅する小さな光をのぞき込む人物を見つけた。差出人と疑っていた「隣人」で、ドライブレコーダーのカメラかどうかを確かめている様子だったという。以後、「隣人」からの手紙は届かなくなった。
コラムは統計も添えている。2023年のピュー・リサーチ・センターの調査では、アジア系米国人の10人に6人が人種差別を経験したと答えた。昨年の別の調査では、アジア系米国人の回答者の77%が、就職活動や警察との接触、店舗の利用などで差別を経験したと回答している。筆者は、それぞれが米国社会で向き合った差別の顔は違っていたとし、自分の場合は犬の飼い主によって「黄色」に分類され、ある隣人には秩序を乱すよそ者として扱われたと書いている。個人の体験と数字を並べたうえで、グラミーの部門新設という制度の話につなげる構成である。
記事に添えられた写真は、先月19日に米ニュージャージーのスタジアムで開かれた「2026 FIFA北中米ワールドカップ」決勝戦のハーフタイムショーに出演したBTSの姿で、ビッグヒットミュージックが提供したものだ。コラム欄「コズモポリタン」は、これまでに116本の記事を掲載している。
BTSをめぐっては、8月以降も動きが続いている。8月18日(現地時間)にMTVが発表した「2026 MTVビデオ・ミュージック・アワード」の候補者リストでは、正規5作目『ARIRANG(アリラン)』のタイトル曲「SWIM」が「今年の楽曲(Song of the Year)」部門と「ベストK-POP」部門の候補に入った。授賞式は9月27日に開かれる。『ARIRANG』はグループとして3年9か月ぶりに全員がそろって発表した完全体アルバムで、同じく8月18日発表のビルボード最新チャートでは「ビルボード200」で21位につけ、4月のチャートインから21週連続でランクインを続けている。なお、このチャートではStray Kidsが新ミニアルバム『THIS & THAT』で通算9作目の首位に立った。
ワールドツアー「BTS WORLD TOUR『ARIRANG』」も進行中だ。米イリノイ州のJ.B.プリツカー知事は、現地時間8月27日と28日の2日間を「BTSデー・イン・イリノイ」に指定した。この2日間、シカゴのソルジャー・フィールドで「BTS WORLD TOUR『ARIRANG』IN Chicago」が開かれる。州が出した宣言文には、精神的な健康への意識を高めること、自分自身を愛すること(セルフラブ)、慈善活動を通じた社会的価値の実現といった、BTSがこれまで果たしてきた役割が書き込まれていた。ツアーでは、8月15日に米テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで開かれた公演で、ジミンが客席にいた小児がんで闘病中の少女オリビアさんに自ら歩み寄り、抱き寄せて頬にキスを贈った場面も、非営利団体「ヒーローズ・フォー・チルドレン」の公式SNSを通じて公開されている。またグーグルは8月19日、対話型AIアプリ「Gemini」内にBTSのハブページを設け、プロンプト入力欄に「Unlock BTS」または「7777」と入力すると使える4種類のインタラクティブ機能の提供を始めたと明らかにした。










