BIGBANGハノイ公演に9万人 最高額席は約54万ウォン
写真: BIGBANG — YG Entertainment / Public domainBIGBANGが10月24日と25日の2日間、ベトナム・ハノイのミーディン国立競技場でデビュー20周年ワールドツアーの公演を開き、主催者の集計で約9万人を集めた。いちばん高い席は「ULTIMATE VIP PACKAGE」のスタンディングで、価格は1,050万ドン(約54万ウォン)。チケットの大半は銀行カードの会員向け先行販売で売れ、ネットでは転売や詐欺も目立った。朝鮮日報のアン・ジュンヒョン ハノイ特派員が10月30日付の記事で、会場の熱気とともに、公演を支えたお金の流れを伝えている。
9万人という数字は、ベトナムでのK-POP公演のなかでも大きい。2023年にBLACKPINKが同じ競技場で2日間公演した時の観客は6万7,000人で、今回はこれを上回った。昨年11月にはG-DRAGONがハノイ近郊のフンイエンで初のベトナム単独公演を開き、2日間で約10万人を集めている。BIGBANGが初めてベトナムの舞台に立ったのは2012年4月だ。ホーチミンで飲料会社が開いた音楽フェスティバルの出演者の一組として、6曲を歌った。今回のツアーは、3人のメンバーがそろって回る9年ぶりのツアーでもある。

席は10段階に分かれていた。最高額のスタンディングが1,050万ドン、最も安い「CAT5」の見切れ席が100万ドン(約5万ウォン)。中間あたりのプレミアム席でも750万ドン(約38万ウォン)で、ベトナムの労働者の今年上半期の平均月収900万ドンの8割を超える。同じツアーのシンガポール公演、バンコク公演と比べると、最高額のスタンディングはどちらの最高額席よりも高かった。一方、見切れ席はツアー全体で最も安い設定だった。
公演はYGエンターテインメントが、米国の公演企画会社AEGプレゼンツのアジア法人、現地の韓国系企業カルパ、ベトナムの民間銀行VPバンクと組んで開いた。カルパはハノイで韓国製の浄水器を売り始め、生活家電に事業を広げたあと、2020年にエンターテインメント法人を設立した会社だ。VPバンクは共同主催とメインスポンサーを兼ねた。8月13日のファンクラブ会員向け先行販売では約6万人が待機列に並び、用意された枚数は2時間で売り切れた。翌日のVPバンクのマスターカード会員向け先行販売には12万人近くが集まった。主催者によると、この2回の先行販売で全体の9割が売れ、一般販売に回ったのは1割だけだった。
VPバンクがK-POP公演を客集めに使うのは初めてではない。昨年6月にミーディン競技場で開かれたK-POP合同コンサートでは、自社カードでグッズを買うと20万ドンを割り引き、専用の入場通路も設けた。昨年11月のG-DRAGONのベトナム初単独公演では冠スポンサーになり、カード会員に先行販売の権利を与えた。テクコムバンクやVIBといったほかの民間銀行も、「アインチャイ・セイハイ」などベトナムの歌手による大型コンサートを後援している。主催者は売上を公表していないが、ベトナムのメディアVNエクスプレスは9万枚が完売したとみて平均価格を400万〜500万ドンと置き、チケット収入だけで3,600億〜4,500億ドン(約185億〜230億ウォン)になると試算した。
販売が終わると、フェイスブックやスレッズに転売市場ができた。上乗せ額は1枚あたり50万〜100万ドンで、人気エリアは定価の1.5〜2倍。350万ドンのCAT3席が600万ドンで出品された例もある。自分の分とは別にもう1組買って売る、副業の転売屋も現れた。チケット取引のフェイスブックグループには7万人以上が参加し、転売価格は2日目にさらに上がった。初日には、最高額のスタンディングエリアにチケットを持たずに入ったとみられる人たちを警備員が外へ出す場面もあった。ネットには「内部チケット」「待機列代行・成功保証」をうたう広告があふれ、VPバンクは先行販売の前に、内部チケットは存在しないと告知した。ベトナム公安省のサイバーセキュリティ・ハイテク犯罪予防局(A05)も、国営VTVなどと作った詐欺防止番組で、チケットを代わりに取ると言って金を受け取る手口に注意を呼びかけた。
正規の席を手に入れるのも簡単ではなかった。ホーチミンの会社員、チャン・クアン・フイさん(40)は休暇を取ってハノイへ来た。650万ドンのCAT1席を代行業者を通して買い、1枚あたり100万ドンを上乗せして払った。友人2人の分と合わせて連番で買ったはずの3枚は、売り手が直前に話を変えたため、3つのエリアにばらばらになったという。
客席の中心は、BIGBANGと一緒に年を重ねてきた世代だった。現地メディアのダンチによると、ホーチミンから来たKさん(34)は生後3カ月の子のために母乳を搾って置いてきた。2012年にBIGBANGが初めてベトナムに来た時は大学2年生で、チケットを買うお金がなかったという。今回も迷っていたところを、夫に背中を押された。2人の子を持つゴック・リエンさん(36)は2日目のプレミアム席を持っていたが、待ちきれずに初日も会場の外へ来た。チケットがなく塀の外で歌うファンのいる場所を、現地のファンは座席ランクになぞらえて「CAT6」と呼んでいる。前日の夜から会場の前には、風船アーティストのヴー・タ・ヴィエット・フンさん(34)が仲間と5時間以上かけて膨らませた高さ3メートルの応援棒が立っていた。ただ、本人は用事ができて公演を見られなかった。
会場の外にもお金は流れた。ハノイのあるメイクアーティストは公演当日の午前2時から客を受け付け、ふだんの4倍となる1日400万ドン以上の売上を見込んだ。ベトナム初のBIGBANG公式ポップアップストアでは、1人1本に限られた応援棒を手に入れようと、転売業者が家族まで連れてきて列に並ばせた。カルパのユン・フィ会長は、ベトナムはこれまでグッズがあまり売れない市場だったため、YGも出荷数を控えめにしていたと説明している。バオヴァンホアによると、競技場から半径3キロ以内のホテルは7月末には埋まり、23日と24日の予約は同じ月の平均の15倍だった。ファンが航空券を取ったのは平均で公演の70日前、宿は76日前だ。旅行サイトのトリップドットコムでは、23〜26日のハノイ行き航空券の予約が前年より74%増えた。主な出発地にはホーチミン、ダナン、ソウル、釜山、台北とともに名古屋も入っており、日本から足を運んだファンもいたことがわかる。ハノイ市文化スポーツ観光局は、23〜24日の観光客を22万人(うち外国人6万7,900人)、期間中の観光収入を約7,500億ドン(約385億ウォン)とはじいた。ただVNエクスプレスが指摘するように、これはハノイの観光収入全体の数字で、BIGBANGの公演で増えた分だけを取り出したものではない。
ファンの出費が知られると、ネットでは「ひと月分の給料を数時間の公演に使うのか」という批判も上がった。これに対し、演出家で国際ファッションウィーク委員長のレ・チャン・ダック・ゴック氏は、何年もかけて貯めたお金で買ったチケットかもしれないとして、一部の例でファン全体をおとしめるべきではないと反論した。
朝鮮日報の記事が注目するのは、この盛り上がりの背景にあるベトナム共産党の政策だ。わずか14カ月前、同じ競技場では党機関紙ニャンザンとハノイ市が「国家コンサート」を開き、5万人が国旗を振って国歌を歌った。チケットは無料だった。それが今回は、民間の資本が仕切る有料の興行に変わった。党の政治局は昨年5月の「決議68号」で民間経済を「最も重要な原動力」と位置づけた。今年1月にトー・ラム書記長が署名した「決議80号」は、文化産業がGDPに占める割合を2030年に7%、2045年に9%へ引き上げる目標を掲げ、民間企業を担い手の中心に据えた。トー・ラム書記長によると、今の割合は4%前後だ。客席にはベトナムの歌手の姿もあった。2カ月後に同じ競技場で単独公演を開くトゥン・ズオンは、会場を盛り上げる方法を学びに来たとSNSに書いている。一方で、ブランド専門家のグエン・チエウ・タイン・タム氏はVNエクスプレスに対し、「コンサート一つが完売したことは歌手と公演の魅力を示すだけで、公演産業全体の力を示すものではない」と話し、熱気を産業の実力と取り違えないよう求めた。
話題の大きさは数字にも出ている。韓国国際文化交流振興院(KOFICE)が今年上半期のベトナムのSNSを分析したところ、BIGBANGのワールドツアーへの言及は18万6,659件で、EXOのホーチミン公演(4万9,841件)の4倍近くに達した。会場での大合唱の動画はXやスレッズでさまざまな言語に広がり、ツアーの公演地の一つであるジャカルタのファンからは「ジャカルタもやれる」という書き込みもあった。ツアーで回る19都市のうち5都市が東南アジアだ。BIGBANGは10月29日、ワールドツアー「BIGBANG 2026-2027 WORLD TOUR 'XX : COSMOS'」の日程で仁川国際空港からオーストラリアのシドニーへ出国した。同じ日にはSOLが、公演会場で笑う姿とステージで歌う姿の写真2枚を自身のSNSに投稿している。
原文:‘54만원’ 암표 빅뱅 콘서트… 베트남 덮친 ‘K팝 자본주의’










