tvN「フォーハンズ」29日初放送、ソン・ガンら3人が奏でる青春
(C) tvNtvNの新しい土日ドラマ「フォーハンズ」(脚本シン・イウォン、演出パク・ヒョンソク)が、8月29日午後9時10分に初回放送を迎える。放送開始を前に制作陣は8月19日、作品に登場する音楽の世界をより深く楽しむための「入門書」にあたる解説を公開した。ピアニスト役のソン・ガンとイ・ジュニョン、ビオラ奏者役のチャン・ギュリという3人の関係を、音楽用語を手がかりに読み解く内容になっている。
作品の舞台は、音楽の天才だけが集まる芸術高校だ。そこで出会った若者たちの友情と愛情、競争と成長を描く。ソン・ガンが演じるのはピアニストのカン・ビオ、イ・ジュニョンが演じるのは同じくピアニストのチェ・ジョンヨ、そしてチャン・ギュリがビオラ奏者のホン・ジェインを演じる。3人が音楽を介して絡み合いながら聴かせる旋律に、放送前から期待が高まっている。

制作陣がまず挙げたキーワードは「カデンツァ(Cadenza)」だ。カデンツァとは協奏曲の中で、オーケストラがいったん演奏を止め、独奏者がひとりで演奏を続ける区間を指す。演奏者が華麗な技巧と自分自身の音楽的解釈を思う存分に広げられる場面であり、協奏曲のハイライトとして数えられる部分でもある。日本の読者にとっては、クラシック公演で客席が息を潜めて独奏者ひとりの音に集中する、あの時間だと考えるとわかりやすい。
カン・ビオとチェ・ジョンヨも、このカデンツァを通じてそれぞれの音楽的な個性をはっきりと見せる。カン・ビオは精巧で繊細な演奏が際立つタイプ。一方のチェ・ジョンヨは爆発的なエネルギーで舞台を掌握するタイプだ。同じ区間を任されても、두人がまったく異なる魅力のカデンツァを完成させることで、対照的な色合いが鮮明に浮かび上がる仕掛けになっている。演奏シーンそのものが人物描写を兼ねる構成であり、音楽劇としての見どころが集中する部分だと言える。
もうひとつのキーワードは、タイトルにもなっている「フォーハンズ(Four Hands)」そのものだ。フォーハンズとは、1台のピアノを2人で一緒に演奏する形式を指す。2人の奏者がひとつの鍵盤を分け合って使うため、呼吸とタイミングはもちろん、互いに対する細やかな配慮が欠かせない。演奏者同士の距離が物理的にも近く、相手の動きを感じ取れなければ音楽が成立しない形式である。
この形式が、カン・ビオとチェ・ジョンヨの関係を理解するうえで重要な鍵になる。カン・ビオはエリートコースを歩んできた人物で、対するチェ・ジョンヨは長い空白を経て再びピアノの前に立った人物だ。歩んできた道がまるで違う2人が、フォーハンズの演奏をきっかけに少しずつ互いを理解し、特別な友情を積み上げていく。ひとつの楽器の前で呼吸を合わせ、ひとつの音楽を完成させていく過程がどんな響きを届けるのか、注目が集まっている。
ビオラ奏者ホン・ジェインと2人のピアニストの音楽的な関係も見どころだ。ホン・ジェインの専攻楽器であるビオラは、独奏の舞台ではピアノ伴奏とともに演奏される場合が多い。ピアノが和声とリズムを支え、そこにビオラ特有の深く温かい音色が旋律を重ねることで、豊かな音楽が完成する。それだけにホン・ジェインにとってピアニストは、音楽的な呼吸を合わせなければならない重要なパートナーということになる。
自分の耳を満足させる伴奏者を渇望してきたホン・ジェインは、カン・ビオとチェ・ジョンヨの演奏に人並みでない響きを見出し、2人の音楽に深く魅了されていく。異なる個性を持つ2人のピアニストが、ホン・ジェインの音楽と人生にどんな変化をもたらすのか。これも観戦ポイントとして挙げられている。3人の関係が、恋愛関係だけでなく演奏上のパートナーシップとして描かれる点が、この作品の構造上の特徴だ。
「フォーハンズ」をめぐっては、放送前から段階的に情報が公開されてきた。8月17日には、劇中に登場する演奏会のパンフレットビジュアルが公開されている。写っていたのは、17歳の学生ピアニストであるカン・ビオ役のソン・ガンと、チェ・ジョンヨ役のイ・ジュニョン。同じ舞台に立ちながらまったく異なるタイプの演奏者である2人が、それぞれの流儀で音楽に没入する姿が収められていた。パンフレットには「皆さんを美しい旋律の世界へご招待します」という一文が添えられ、その脇に2人の演奏写真が配置されている。どちらも真剣な表情だが、視線の先にあるものはそれぞれ違っていた。今回公開された解説は、このビジュアルで示された対比を、カデンツァとフォーハンズという2つの用語によって具体的に説明したものと言える。
ソン・ガンにとって同作は、兵役を終えて除隊した後の活動にあたる。除隊後に公開された近況では以前よりも端正になった姿を見せ、韓国メディアもその変化を伝えていた。ソン・ガン本人は当時の心境について「余裕ができた」と語り、軍服務を終えたことによる落ち着いた様子をのぞかせている。この場にはチャン・ドヨンが同席し、2人はテンポの良いやり取りを見せていた。天才ピアニスト役という挑戦は、その復帰後の歩みを占う一作にもなる。
放送枠についても関心が寄せられている。「フォーハンズ」が入るのは、パク・ウンビン主演作が視聴率7.3%を記録した後を受ける枠だ。ソン・ガンがそのバトンを受け継げるかどうかに注目が集まっている。韓国では土日の夜9時台がドラマの主要な放送枠のひとつであり、この時間帯に置かれること自体が、局が力を入れている作品であることを示している。
ホン・ジェインを演じるチャン・ギュリは、これまでにもドラマ出演を重ねてきた。MBC TVの金土ドラマ「その電話が鳴るとき」(原題・지금 거신 전화는)では、ユ・ヨンソク、チェ・スビン、ホ・ナムジュンらとともに出演している。同作は大統領演説秘書官のペク・サオンと、その妻となるホン・ヒジュを軸に、言葉を扱う仕事に就く男と彼女のあいだで、一本の電話が関係を動かしていく物語だ。ユ・ヨンソクとチェ・スビンが夫婦を演じ、ホ・ナムジュン、チャン・ギュリらが物語に関わった。2024年11月22日から2025年1月4日まで全12話が放送され、演出はパク・サンウとウィ・ドゥッキュ、脚本はキム・ジウンが手がけた。韓国での放送と並行してNetflixでも配信されたため、日本の視聴者も追いかけやすい一作となっている。チャン・ギュリの演技を先に確認しておきたい人にとっては、手がかりになる作品だ。
クラシック音楽を題材にしたロマンス作品として、ソン・ガン、イ・ジュニョン、チャン・ギュリの3人がそれぞれの物語を描く「フォーハンズ」。芸術高校という限られた空間で、才能と才能がぶつかり、また支え合う関係が生まれていく。エリートとして進んできた者、空白を経て戻ってきた者、そして納得のいく伴奏者を探し続けてきた者。立場の異なる3人が同じ音楽の前に立つとき何が起きるのかが、作品全体の軸になりそうだ。初回放送は8月29日午後9時10分、tvNの土日ドラマ枠となる。





