Stray Kids「CASE 143」MVを読み解く連載、恋を「事件」として描いた演出に注目
写真: Stray Kids — Stray Kids / JYP Entertainment / Public domain韓国のメディア「デイリアン」が9月11日、Stray Kids(ストレイキッズ)の楽曲「CASE 143」のミュージックビデオ(MV)を取り上げた連載記事を掲載した。同紙のチョン・ジウォン記者が担当する「MVリプレイ」というコーナーの第40回にあたるもので、恋に落ちるという出来事を「事件」に見立てた映像の作りを、あらすじ、解釈、総評という三つの角度から論じている。
「CASE 143」は、Stray Kidsが2022年10月に発表した楽曲で、グループが「愛」をテーマに掲げた初めてのタイトル曲だという。記事によれば、この曲は見知らぬ感情を前にしたときの戸惑いを「事件発生」になぞらえており、MVはその設定を、警察とハート型の怪物による追跡劇として映像に置き換えている。ときめきという感情を歓迎すべきものとして受け入れるのではなく、正体の分からない事件として扱う。原因を突き止めて捕まえようとするほど、感情はかえって大きく広がっていく——記事はこの構造を作品の核心として提示している。

MVのあらすじはこうだ。ハートの形をした怪物たちが現れたことで、メンバーたちの日常がひっくり返る。怪物の影響を受けたメンバーたちは恋に落ちたような状態になり、その場は騒がしくなる。チャンビンが警察に助けを求めたことで、本格的な捜査が始まる。ところが現場に到着した警察も、また別のStray Kidsだった。制服を着たメンバーたちが事件の痕跡を調べ、ハート怪物を追跡する。一方では恋に巻き込まれたメンバーたちが混乱した感情をあらわにし、もう一方ではそれを鎮圧しようとする警察がいる。同じ顔をした二つの集団が追い、追われながら画面を埋めていく。
警察はハート怪物を捕まえるが、状況は終わらない。すでに影響を受けたメンバーたちからは、恋の気配が消えない。そこで警察は、このMVの撮影現場にある巨大なプラグを抜いてしまう。するとセットが崩れ始め、すべてが強制的に終了してしまいそうな瞬間が訪れる。その時、映像が止まる。スンミンが画面を巻き戻すと、直前まで進んでいた場面が逆回転していく。メンバーたちはプラグを差し直して崩壊を食い止め、歌とパフォーマンスを続ける。最後には映像の画面そのものがガラスのように割れ、メンバーたちがその向こうへと飛び出していく。事件現場を抜け出すだけでなく、自分たちを収めていたMVの外へ脱出するという結末だ。
記事は解釈の項で、タイトルの「143」が「I love you」という三つの単語のアルファベットの文字数を数字に置き換えたものだと説明している。事件番号のように見えて、読み解けば愛の告白になる。つまり捜査を始める前から、タイトルに答えが書かれているという指摘だ。視聴者はこの騒動が愛のせいだと分かっているのに、当の本人たちは自分に起きた変化を制御できずに右往左往する。その落差が仕掛けとして機能している。
ハート怪物については、その混乱を目に見える存在にしたものだと位置づけている。愛を意味する見慣れた可愛らしい形に、日常をかき乱す怪物の役割を与えた。ときめきは歓迎すべき感情であると同時に、集中力を奪い、普段とは違う行動を取らせる見知らぬ力でもある。甘いハートと危険な怪物という組み合わせが、愛のこうした両面性を遊び心とともに示している、という読み方だ。
さらに、警察と恋に落ちた人物たちが同じ顔をしている点について、この対立を一人の人間の内面として読ませる仕掛けだと分析している。制服を着て原因を調べる警察が秩序を取り戻そうとする理性であるなら、ハート怪物に揺さぶられたメンバーたちはすでに動いてしまった感情にあたる。誰かの恋を外部から邪魔する悪役との戦いというより、心の向くままに行動しようとする自分と、それを止めようとする自我との衝突として描かれているという指摘である。
プラグを抜く行為は、統制の最後の手段のように見える。感情を説明することも鎮めることもできないので、いっそすべてを消してしまおうとする。だがその瞬間に消えるのはハート怪物だけではなく、メンバーたちが立っていた空間そのものが崩れていく。記事はこれを、愛だけを選択的に消そうとした試みが自分の世界まで揺るがす場面として解釈できると書いている。そしてスンミンの巻き戻しは、その結末を拒否するものだと続く。時間を戻して愛が始まる前へ逃げるのではなく、プラグが抜かれて終わってしまう危機にある物語を、もう一度つなぎ直す。愛は処理すべき事故から、終わらせたくない経験へと変わる。最後にメンバーたちは警察が統制する空間だけでなく、観客が眺める映像の枠まで壊す。制御できない愛がMVという境界も越えたことを示している、というのが記事の読みだ。
総評として同紙は、「CASE 143」の面白さは、事件を説明する物語と事件を引き起こす編集が一緒に動く点にあるとまとめている。分割された画面や急な転換で視線を揺さぶり、後半では巻き戻しと画面の破壊によって、映像が正常に終わるだろうという予想までひっくり返す。愛のせいで普段の秩序が崩れたという設定を、内容だけでなく見せ方でも伝えているという評価だ。音楽についても、半音階に沿って動くシンセと速く展開する曲構成が、見知らぬときめきの前で揺れる心を支えていると分析。強いラップと鮮明なメロディー、低い音色のサビが交互に現れることで、ラブソングの軽快さの中にStray Kidsらしい力強さを残しているとし、可愛いハート怪物と真面目な警察が同居する画面のように、音でもいたずら心と緊張感が交差すると評した。記事は最後に「犯人は愛、逮捕は失敗」という一行評を添えている。
この「MVリプレイ」という連載は、ショート動画やリールなど短い尺の映像ばかりが消費される現在、歌手が曲の中に込めた象徴や世界観、物語をじっくり味わう機会が減っているという問題意識から始まったものだ。編集部注によれば、アーティストが作り込んだ「小さな映画」であるMVを十分に味わうことを狙いとし、演出や象徴、メッセージを論じることで、好きな歌手の音楽をより深く理解し、MVを鑑賞する楽しさを知ってもらいたいという趣旨で続けられている。今回の記事はその第40回にあたる。
Stray Kidsをめぐっては、直近でも動きが相次いでいる。9月10日には、韓国のファッションブランド「MATIN KIM(マタンキム)」が2026年秋冬シーズンのアンバサダーにメンバーのリノを起用したことが伝えられた。ブランドを運営するブランドインキュベーター「ハゴハウス」が9月9日に明らかにしたもので、K-POPグループのメンバーがブランドの顔として季節キャンペーン全体を担う形となり、同ブランドが打ち出す新しい方向性を象徴する人選と位置づけられている。発表では、リノはStray Kidsのメンバーとして、ステージ上での強烈な姿から日常の自然な表情まで幅広い表現力を見せてきたアーティストとして紹介された。
また9月4日午後には、海外でのコンサート日程のため、8人組のStray Kidsが仁川国際空港から出国している。場所は仁川広域市中区雲西洞の仁川国際空港で、この日の様子はRNXのキム・ヨンドク記者によって写真と映像で記録され、9月5日に公開された。出国したのはリノ、バンチャン、チャンビン、ハン、フィリックス、スンミン、アイエン、ヒョンジンの8人で、RNXは同じ出国の様子をライブ形式でも配信している。今回の出国は、グループが現在進行中のワールドツアーをはじめとする海外公演スケジュールに合わせたものだ。
さらに9月1日午後には、メンバーのフィリックスがグループの自主企画「SKZ-PLAYER」の一環となるデジタルシングル「Slow It Down」を発表した。所属事務所はJYPエンターテインメント。この企画は、グループが持つミュージシャン、アーティストとしての要素に焦点をあて、8人のメンバーがそれぞれファンであるSTAY(ステイ)に聴かせたいと考えた作品をサプライズ形式で公開していくもので、フィリックスの楽曲はその二番手にあたる。フィリックスは作詞・作曲にも自ら関わっている。
「CASE 143」は2022年10月の楽曲であり、今回の記事はリアルタイムの新譜評ではなく、過去の作品を改めて読み直す試みだ。日本の読者にとっても、追跡劇という分かりやすい枠組みの中に、理性と感情の綱引きという主題が組み込まれていること、そして巻き戻しや画面の破壊といった映像そのものの仕掛けが物語と連動していることを知ったうえで見返せば、当時とは違う印象を受ける可能性がある。ハート怪物という可愛らしい造形と、制服姿の警察という真面目な設定が同じ画面に共存する感覚は、曲の音作りにもそのまま反映されているという指摘も、聴き方を変える手がかりになるだろう。










