Netflix『スキャンダル』配信開始 ソン・イェジンが朝鮮の女性を演じる
写真: ソン・イェジン — Desmond Herzfelder / CC BY 4.0ソン・イェジン、チ・チャンウク、ナナが出演するNetflixシリーズ『スキャンダル』(原題:스캔들)が、9月18日に配信を開始した。全8話で、演出は映画『ハッピーエンド』『銀嬌』のチョン・ジウ監督が手がけている。朝鮮時代を舞台に、ひとつの「愛の賭け」から始まる三人の欲望を描く作品だ。
物語の中心にいるのは、ソン・イェジンが演じる「チョ氏夫人」である。優れた才能を持ちながら、女性であるという理由だけで夢を諦めたまま生きてきた女性だ。彼女は、いとこであり朝鮮一の色事師として知られる「チョウォン」(チ・チャンウク)に、危険な提案を持ちかける。婚礼を挙げる前に夫を亡くした左議政家の嫁「ヒヨン」(ナナ)の心を射止めれば、チョウォンの望むものを叶えてやる、という誘いである。良い家柄と優れた能力を備えながら、出世よりも快楽を追い求めてきたチョウォンは、長くチョ氏夫人を想い続けてきたこともあり、ためらいなくその賭けに飛び込んでいく。ヒヨンは夫を亡くしたあと、貞節を守らねばならないという理由で人生そのものを諦めたまま生きている人物として描かれる。原文で紹介されているチョ氏夫人の手紙の一節は、「北村には春の気配が揺らめいておりますゆえ、私の心もそうなったようで、しきりに弟君が恋しくなります」というものだ。

この設定に既視感を覚える人も多いだろう。原作は、フランスの作家ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ(1741〜1803)が1782年に発表した小説『危険な関係』である。貴族の男女が他人の恋愛を誘惑と賭けの対象にすることで起きる出来事を描いたこの小説は、これまで世界各国で何度も映画やドラマになってきた。代表作として挙げられるのが『バルモント』(1989年)と『クルーエル・インテンションズ』(韓国題『愛より美しい誘惑』、1999年)だ。韓国では2003年に、イ・ジェヨン監督が映画『スキャンダル―朝鮮男女相悦之詞』として舞台を朝鮮時代に移している。このときチョウォン役を演じたのが、「ヨン様」のイメージが強かった俳優ペ・ヨンジュンで、当時大きな話題を呼んだ。同じ役をチ・チャンウクがどう演じるのか、二人の「スキャンダル」を比べる視点も、今回の公開をめぐる関心のひとつになっている。
新作で特に注目されるのが、ソン・イェジンの演技の変化だ。映画『ラブストーリー』(原題『クラシック』、2003年)の清純なイメージから、ドラマ『愛の不時着』(2019年)の愛らしいキャラクターまで、さまざまな顔を見せてきた彼女が、今回は艶やかでありながら本心を簡単には見せないチョ氏夫人を演じる。ソン・イェジンは9月9日の制作発表会で「チョ氏夫人は独立的で主体的であり、表情、言葉、内心がすべて異なる人物」と語り、「私がそうした感情を表現できる年齢になったのではないかと思う」と話している。
作品のなかで重要な装置となるのが手紙だ。原作『危険な関係』は、登場人物たちがやり取りする手紙によって物語が進む書簡体小説であり、今回のドラマでも、表に出そうで出ない各人物の隠された本心が、手紙を通じて隠喩的に伝えられていく。
映画『ハッピーエンド』(1999年)や『銀嬌』(2012年)で、人間の欲望と関係を美しいミザンセーヌとして描いてきたチョン・ジウ監督は、今作では華やかでありながら抑制の効いたカメラアングルで北村の風景を収めた。とりわけ目を引くのが、多彩な韓服の色と質感である。チョン監督は制作発表会で「グローバルの視聴者に韓服を自慢する機会になり、大変うれしい」と述べ、「まったく違う韓服を見ることができると思う」と語った。
制作発表会は9月9日午前、ソウル・鍾路区のJWマリオット東大門スクエア ソウルのグランドボールルームで開かれた。チョン・ジウ監督とソン・イェジン、チ・チャンウク、ナナの4人が登壇し、フォトタイムでは、チ・チャンウクが彫刻のように整った顔立ちで視線を集め、手でハートを作るポーズも披露している。ソン・イェジンもフォトタイムで優雅な笑みを浮かべながらポーズを取った。この日の様子はスポーツ東亜のチョン・ヒヨン記者が伝え、写真はNetflixが提供している。韓国では新作ドラマの配信・放送に先立ち、主演俳優と監督がそろって記者の前に立つ制作発表会を開くのが恒例になっており、この日は配信開始まで10日を切ったタイミングでの公式イベントとなった。
この制作発表会では、本編とは別のところでも話題が生まれた。質疑応答の途中、ナナが隣に座るソン・イェジンのスカートの乱れを、何も言わずにそっと直す場面があったのだ。その様子を収めた映像が発表会のあとからオンラインコミュニティーやSNSで広がり、言葉にせず先輩を気遣ったナナの振る舞いに多くの称賛が寄せられた。また、配信2日前の9月16日には、Netflixが公式SNSで出演者たちの画報を公開している。そのうちの1枚では、ソン・イェジンが裾の長さが左右でそろっていない白のアンバランスなワンピースを身にまとい、扇子を手に、強さを感じさせる目線をカメラに向けていた。投稿には「こんなに美しいスキャンダルなら歓迎です」という言葉が添えられていた。
チョウォン役を演じるチ・チャンウクにとって、『スキャンダル』は近年の出演作のなかでも毛色の異なる一作となる。2024年11月6日から11月27日にかけては、Disney+の水曜ドラマ枠で全8話の『江南Bサイド』が配信された。江南のクラブで人気を集めていた「エース」ジェヒの失踪を軸に、事件を追う刑事と検事、そして正体の見えないブローカーという、それぞれ異なる思惑を抱えた三人が江南の裏側へ近づいていく犯罪ドラマで、チ・チャンウクはハ・ユンギョン、チョ・ウジン、BIBIと共演した。演出は映画『TAZZA』などで知られるパク・ヌリ、脚本はチュ・ウォンギュが手がけている。
続く2025年11月5日からは、同じくDisney+で全12話の『捏造された都市』(原題:조각도시)が配信された。無実の罪で服役することになった青年パク・テジュンが、自分を陥れた仕組みと向き合っていく犯罪スリラーで、映画『操作された都市』をドラマとしてリメイクした作品である。チ・チャンウクがテジュンを、彼と関わるアン・ヨハンをディオ(ド・ギョンス)が演じた。脚本は映画版も手がけ、『模範タクシー』シリーズを執筆したオ・サンホ、演出はパク・シヌとキム・チャンジュ。共演にイ・グァンス、ヤン・ドングン、ピョ・イェジン、チョ・ユンス、キム・ジョンスが名を連ねている。配信は12月3日まで続いた。現代劇の犯罪ものが続いたあとで、朝鮮時代の色事師という役柄に取り組む形になる。
一方、2003年の映画版でチョウォンを演じたペ・ヨンジュンについては、この9月、久しぶりの近況が韓国で伝えられた。9月12日、アマチュアゴルファーのキム・ソアが自身のSNSに、ペ・ヨンジュンと一緒にラウンドした際の写真を投稿し、「ペ・ヨンジュン俳優と楽しいラウンド」という言葉を添えたのだ。写真のペ・ヨンジュンは緑色のゴルフウェアを身につけ、明るい笑みを浮かべてVサインのポーズで記念撮影に応じている。最も注目を集めたのは髪の色で、ドラマ『冬のソナタ』の頃に多くの視聴者が記憶しているブラウンの髪とは異なり、帽子の隙間からのぞく髪は白さの目立つものになっていた。表舞台から距離を置いて久しい俳優の現在の姿ということもあり、写真は公開後まもなく話題を呼んだ。一方で、穏やかな表情や佇まいといった雰囲気そのものは当時のままだと受け止められている。同じ物語の同じ役をめぐって、かつての主演俳優の近況と新作の配信開始が同じ月に重なった形だ。
データベース上、『スキャンダル』はソン・イェジン、チ・チャンウク、ナナが顔をそろえるロマンスドラマとして登録されており、英題は「The Scandal」。実力派として知られる三人が同じ画面に並ぶ組み合わせ自体が新鮮で、ロマンスというジャンルをどう描くのかに注目が集まっていた。全8話はNetflixで配信されており、日本からも視聴できる。18日の公開を受けて、賭けを仕掛けたチョ氏夫人、それに飛び込んだチョウォン、そして賭けの対象とされたヒヨンという三人の関係が、手紙という装置を通じてどこへ向かうのかが、これから視聴者の手に委ねられることになる。






