チャン・ウォニョン中傷のYouTuber、身元特定に米国の裁判所が必要な理由
写真: チャン・ウォニョン — Kai.gopractice / CC BY-SA 4.0IVE(アイヴ)のチャン・ウォニョンらを悪意をもって中傷していた匿名のYouTubeチャンネル「タルドク収容所」。その運営者に法的責任を問うため、チャン・ウォニョンの所属事務所は米国の連邦裁判所で証拠開示の手続きを取らなければなりませんでした。韓国メディアの同行メディア時代が11月5日、この事例を手がかりに、海外プラットフォーム上の虚偽の暴露や中傷にK-コンテンツ業界がなかなか対抗できない理由を詳しく報じました。
記事は韓国時間5日午前4時30分付で、社会部で法曹チームを担当するイ・ガヨン記者が書いたものです。K-コンテンツを食い物にする「闇の商売」を追う連載の2回目にあたります。連載は、作品を違法に流通させる市場と並んで、K-POPスターについて刺激的な話題を見境なく広める「サイバーレッカー」も闇市場の一角をなしていると位置づけています。サイバーレッカーは、再生回数を稼いで広告収入や投げ銭を得るために、刺激的な虚偽の映像を作って流すチャンネルを指して使われている言葉です。

記事に添えられた写真には、「タルドク収容所」の運営者が裁判所を出る様子が写っています。2024年9月、ソウル・瑞草区のソウル中央地裁で開かれた一審の判決公判で、罰金1000万ウォンを言い渡された後の姿です。
記事によると、違法流通や虚偽の暴露に対応するには、二つの作業を同時に進める必要があります。違法なコンテンツや虚偽の映像はすぐに削除させなければなりません。一方で、運営者にたどり着く手がかりになるアカウントや接続記録は、捜査のために残しておく必要があります。そのうえで、運営者の身元の確認、背後にいる組織と資金の流れの追跡、海外のインターネット事業者からの協力の確保という三つの関門を越えなければ、闇市場を根こそぎにすることはできないと記事は指摘しています。
最初の関門である身元の確認について、法務法人リウのチョン・ギョンソク弁護士が具体的な経緯を明かしています。場は9月29日に韓国の国会で開かれた政策セミナー「韓国エンターテインメント産業発展の阻害要素と克服方案」です。チョン弁護士はここで、「タルドク収容所」事件で運営者をどう突き止めたかを詳しく説明しました。
韓国国内で訴訟を起こしても、相手が誰なのかを知るにはYouTubeの協力が欠かせません。そしてYouTubeは、裁判所の命令がなければ会員の個人情報を出すことができません。そのため、米国の裁判所で手続きを取らない限り、YouTuberの素性すらつかめないのが実情です。チャン・ウォニョンの事務所が米連邦裁判所の証拠開示手続きを利用したのは、こうした事情からでした。
チョン弁護士はセミナーで、海外プラットフォームの韓国法人は「自分たちはサービスの運営主体ではないので、アカウント情報にアクセスする権限がない」と答えると説明しました。韓国の裁判所による事実照会や文書提出命令だけでは、サイバーレッカーの正体を明らかにするのは難しいといいます。そのうえで、韓国の捜査機関が適法な手続きで会員情報を求めた場合には、海外プラットフォームの韓国法人も応じなければならない、という法的根拠を設けるべきだと提案しました。
運営者を特定できても、それで事件が片づくわけではありません。同じセミナーでは、警察出身でサイバー犯罪の捜査経験が豊富な法務法人ファウのチャン・ジュンウォン専門委員が、現在の捜査体制の限界を指摘しました。法律上の検討、投稿の証拠集め、ネット上の追跡、海外事業者とのやり取りまで、すべてを一人の捜査官が担っているという問題です。
チャン専門委員は、捜査の成果をはかる基準も見直すべきだと訴えました。虚偽の情報を広くばらまく組織の実態を解明しても、投稿者を一人特定しても、成果はどちらも同じ「1件」と数えられてしまうからです。チャン専門委員は「処理件数を中心にした業務評価が、複雑な事件を深く捜査しようとする動機を弱めている」と述べています。
違法サイトの運営者は、追跡をかわすためにアドレスを頻繁に変えたり、元のサーバーの場所を隠したりします。記事はその手口として、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)の悪用を挙げています。CDNは本来、ウェブサイトに速く安定してつながるようにするためのサービスです。CDNの中継機能を使うと、利用者からは元のサーバーではなく中継サーバーのIPアドレスが見えるため、外から見えるアドレスだけでは実際のサーバーの所在をつかみにくくなります。さらに、ドメインの数字を一部変えただけで同じサーバーにつなぎ直されると、元のアドレスを遮断しても接続を止めにくいといいます。
韓国著作権保護院のチョン・スンミ保護審議部長は、大規模な海外CDN事業者に韓国国内の代理人を置かせる案を検討しようと呼びかけました。遮断命令を伝え、技術的な対応を話し合い、その結果を受け取れる窓口をつくるのが狙いです。
専門家たちは、運営者の身元確認、背後の組織と資金の追跡、サイトの遮断という三つの課題を解決するには、K-コンテンツ業界が足並みをそろえて対応する必要があると口をそろえています。
漢陽大学経営学科のカン・ヒョング教授は同行メディア時代の取材に対し、サイバーレッカーの害を「倒れていくドミノ」にたとえました。最初のドミノは、サイバーレッカーが刺激的な虚偽の映像で再生回数を伸ばし、広告や投げ銭で収益を得ることです。次に、標的にされたアーティストのイメージが傷つき、広告契約や活動に支障が出ます。三つ目は、K-コンテンツ業界のほかのアーティストまで評判を落とすことです。業界全体で防衛線を築かなければ、最後は全員が被害を受ける構造だとカン教授は説明します。
カン教授は、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題がほかのドイツ車ブランドの信頼にまで影響した例を挙げました。K-POPスター一人に向けた虚偽の暴露は、そのままほかのK-POPスターにも悪影響を及ぼすと強調しています。
カン教授の分析では、過去1年間にサイバーレッカーがK-POPスターに関する虚偽の暴露で得た収益は数億ウォン規模でした。これに対し、標的になったアーティストと所属事務所が受けた直接の売り上げ被害は1749億ウォンにのぼります。さらに、世界のファンの間に広がった否定的なイメージによってK-POP産業全体が受けた損失は3233億ウォンに達すると試算しています。加害側が得た金額に比べ、業界が負った被害がいかに大きいかがわかる数字です。
カン教授は、MP3の登場で音源の違法ダウンロードが広がった際、世界のレコード会社が組織的に対応した結果、今の音楽市場はむしろ大きくなったと振り返ります。そして「K-コンテンツの違法流通や虚偽の暴露の問題も、事務所がそれぞれ個別に対応するのではなく、法律とAIの専門家が加わる民間の共同対応組織をつくって一緒に取り組めば、完全に根絶できる」と述べました。
女性スターへの根拠のない非難は、ほかの韓国メディアも最近取り上げています。OSENは11月2日、ハ・スジョン記者の記事で、チャン・ウォニョン、女優のソン・イェジンとハン・ガイン、歌手のソン・ダムビの4人が今年受けた「オッカ」の例をまとめて伝えました。「オッカ」は、無理にけなしたり、おとしめたりすることを指す韓国のネット用語です。この記事は、健全な批判であれば無関心よりましな場合もあると認める一方で、ありもしない話を作って広めることや、事実でない主張を一方的に続けることは決して許されないと強調していました。
チャン・ウォニョン本人は、最近も活発に活動しています。10月28日には、ブルガリのアンバサダーとしてソウル・江南区のソンウン(SONGEUN)で開かれた展示「光、形、そしてビジョン」のオープニング行事に出席しました。翌29日には自身のSNSに黒いオフショルダードレス姿の写真を投稿し、韓国の複数のメディアに取り上げられています。一挙手一投足が注目されるスターだからこそ、再生回数を狙うチャンネルの標的にもなりやすいという構図が、今回の連載からも浮かび上がります。
今回の記事で紹介された対策は、海外プラットフォームの韓国法人に会員情報の提供を義務づける法的根拠づくり、捜査体制と成果評価の見直し、海外CDN事業者への国内代理人の設置、業界による民間の共同対応組織の立ち上げです。いずれもセミナーや取材の場で示された提案の段階にあります。同行メディア時代は関連記事として「数千億の被害を与えた違法サイトを摘発しても0ウォン…K-コンテンツのむなしい勝訴」も掲載しており、違法流通と虚偽の暴露の両面から、業界が抱える課題を追い続けています。
原文:장원영 비방 유튜버, 미국 법원까지 가서 찾아야 하는 이유





