ピョン・ウソク、130億ウォンの漢南ザ・ヒルを全額現金で購入 無名時代から10年余り
写真: ピョン・ウソク — Byeon Woo-seok / Public domain俳優のピョン・ウソク(ビョン・ウソク)が、ソウル・龍山区漢南洞の高級住宅団地「漢南ザ・ヒル」の一戸を130億ウォンで購入し、その代金を全額現金で支払っていたことが分かった。韓国紙の世界日報が9月21日、この取引に至るまでの経緯を伝えている。購入したのは専用面積235平方メートルの住戸で、残金の支払いと所有権移転の手続きはすでに済んでいる。登記簿謄本に根抵当権の設定が一切ないことから、ローンを組まずに全額を現金で用意したとみられている、というのが報道の骨子だ。
この取引が注目されるのは、金額の大きさだけが理由ではない。世界日報の記事は、購入という出来事そのものよりも、そこに至るまでの十数年に多くの行数を割いている。記事が描くのは、オーディションに落ち続け、地下鉄の中で声を上げて泣いていた一人の若者の姿だ。1991年生まれのピョン・ウソクは、ソウルと光州を行き来しながら学生時代を過ごした。芸能界を意識したきっかけは、5歳上の姉がモデルとして働く姿を見たことだった。両親を説得するため、A4用紙にびっしりと計画表を書き込んで差し出すほど本気だったが、成人してから始めなさいという助言に従い、清州大学の演劇映画科に進んでいる。

モデルとしての出発は20歳のときだった。所属事務所を見つけ、2011年のS/Sコレクションでランウェイに立つ。ただ、そこからすぐにスポットライトが当たったわけではない。21歳から本格的に始めたモデル生活では、体が壊れそうなほど働いても疲れを感じなかったという。海外のファッションショーの舞台は20人ほどで構成され、その中でアジア系のモデルはわずか1人か2人。針の穴のような確率をくぐり抜けた経験が、のちに俳優へ転じたときの最も強い武器になったと、記事は伝えている。
俳優としての名刺を手にしたのは2016年、tvNのドラマ「ディア・マイ・フレンズ」だった。しかし現実は甘くなかった。自分が天才型の俳優ではないことを本人がよく理解していたため、頼れるものは実戦経験しかなかった。オーディションが終わってターミナルに向かう道すがら、こらえていた涙があふれ出すことがたびたびあったという。そのたびに、自分に向かって「君は人としては悪くない子だから、もう少しだけ耐えてみよう」と言い聞かせ、「この試練を乗り越えたら自分自身にいい報酬をあげる」という課題を課しては、明日を誓ったと振り返っている。
フィルモグラフィーは一針ずつ縫うように埋まっていった。「麗〜花萌ゆる8人の皇子たち〜」の端役から始まり、「力の強い女ト・ボンスン」ならぬ「逆上ソヨン キム・ボクジュ」、「名不虚伝」「検索ワードを入力してください WWW」「朝鮮婚談工作所 花党」と続く。主演でも助演でも選り好みをせず、機会が与えられれば真心を尽くした。2020年の「青春の記録」と2021年の「花が咲けば、月を想い」を経て顔が知られるようになり、2023年の「力の強い女カン・ナムスン」では初めての悪役に挑んで演技の幅を広げた。他人の視線や大衆の評価に揺れることなく、自分だけの基準を立てることに集中したという。足りない点が見えれば容赦なくフィードバックを出し、自分に厳しくあるルーティンを守った。作品が終わってもキャラクターを簡単には手放せず、心の中に積み重ねていく性格だったとも記事は書いている。
決定的な転換点は2024年に訪れた。tvNのドラマ「ソンジェ背負って走れ」でリュ・ソンジェ役を演じ、シンドロームに近い爆発的な人気を呼んだ。人気は韓国国内にとどまらず世界市場にまで及び、一躍スターダムに上がって広告界の不動のブルーチップとなった。劇中で本人が歌ったOST「にわか雨」は音源チャートを席巻し、各種授賞式でも受賞を重ねた。ジェットコースターに乗っているような不安の中でも、作品に入るときはキャラクターのことだけを考えて没頭する集中力を発揮したという。
今回購入した漢南ザ・ヒルは、2011年に旧・檀国大学のキャンパス跡地に造成された総600世帯規模の高級住宅団地だ。南山と漢江の眺望に加え、徹底した警備システムを備えており、政財界の大物やトップスターが住む場所として知られている。BTSのジン、RM、ジミンをはじめ、俳優のソ・ジソブ、キム・ヒエ、ハン・ヒョジュらがこの団地に居を構え、最近では歌手のオク・ジュヒョンが190億ウォンで一戸を購入し、団地として過去最高額の記録を残している。ドラマのヒットからわずか2年で、韓国で最も高額なマンションの住民名簿に名前を連ねたことになる。
漢南ザ・ヒルの購入をめぐる報道は、9月に入ってから段階的に伝えられてきた。最初に報じたのは9月10日の韓国経済TVで、同日夜にはマネートゥデイもこれを引用する形で記事を配信した。この時点で伝えられた内容は、対象が専用面積235平方メートルの一戸であること、今年5月に購入し、9月2日に残金を支払って所有権移転の手続きを終えたということだった。所属事務所側はこの報道について言及していない。続いて9月19日には通信社のニューシスが、ローンを組まず全額現金で支払ったと報じ、不動産業界やYouTubeチャンネル「wander planet」などの情報をもとに、住戸が専用面積284平方メートル(約86坪)で部屋4つ、浴室3つ、テラスとバルコニー付きだと伝えている。今回の世界日報の記事は、そうした一連の報道を踏まえたうえで、登記簿謄本に根抵当権がない点をあらためて示し、俳優個人の歩みと重ね合わせて描いた格好だ。
「俳優にとって最も必要な資質は何か」という質問に、ピョン・ウソクはこう答えている。「じっと時間を流してしまうのではなく、傷を乗り越えようともがきながら、一つずつ埋めていく粘り強さ」。世の中には優れた人があふれているが、他人を追いかけるよりも自分がうまくできることに集中する、というのが彼の信念だという。不安を感じている時間があるなら、むしろ自分にできる練習をする。そうした愚直な粘り強さが今の場所をつくったと記事は結んでいる。
私生活の面では、9月16日に自身のSNSに雑貨店で撮った写真を投稿したことも話題になった。文章は添えず、鏡越しのセルフショットと全身が写った写真だけの更新だったが、ブルーグレーの半袖Tシャツにゆったりしたワイドパンツ、ベージュ系のキャップを後ろ向きにかぶった飾らない姿が、かえってスタイルの良さを際立たせていると伝えられた。ジョイニュース24やマイデイリーは、笑ったときにのぞくえくぼや、小物が並ぶ店内を眺める自然な表情を写真の見どころとして取り上げている。
仕事の面でも動きは続いている。9月9日には、Netflixシリーズ「俺だけレベルアップな件」を撮影中のピョン・ウソクの現場に、IUが差し入れの軽食車を贈った。ピョン・ウソクは自身のアカウントのストーリーにその写真を公開している。車体には、俳優本人の名前と劇中の役名を使った三行詩が掲げられていた。「ビョン・ウソク 優雅なレベル 修士」、そして役名を使った「ソン・ジヌ 真剣に優雅」。さらに「一緒にちょっとレベルアップしよう〜」という言葉も添えられていた。二人は今年4月10日から5月16日までMBC TVで放送された全12話のドラマ「21世紀の大君夫人」で共演したばかりで、作品の終了から数か月を経ても交流が続いていることがうかがえる。
この「21世紀の大君夫人」は、立憲君主制が続く21世紀の韓国を舞台にした作品だ。巨大財閥の次女ソン・ヒジュが婚外子という出自に悩み、結婚によって身分を得ようと国王の次男・イアン大君に近づく。大君は幼い国王を支える一方で、大妃ユン・イランの監視と政略結婚の圧力にさらされている。演出は「キム秘書はいったい、なぜ?」「還魂」のパク・ジュンファ、脚本はMBCの公募で優秀賞を受けたユ・アインが手がけた。IUとピョン・ウソクにとっては「麗〜花萌ゆる8人の皇子たち〜」以来の共演で、日本ではDisney+のブランド「スター」でも配信されている。ピョン・ウソクが端役として出演した「麗」から10年を経て、今度は主要キャストとして並んだことになる。
無名時代に地下鉄で涙をこらえていた若者が、韓国最高額の住宅団地に現金で居を構えるまで。その道のりは決して短くなく、また近道でもなかった。次の作品となるNetflixシリーズ「俺だけレベルアップな件」の撮影も進んでおり、次のページをどう開いていくのかに視線が集まっている。






